弾けた、その先にあるもの

2026年10月12日 21:35
カテゴリ: レッスン日記

発表会の話ばかりになっています....

発表会に向かう時も
これまでは必ず他の曲やテキスト
も並行して進めてきました。
 
「発表会の曲だけ」にならないように。
 
実は私自身、子どもの頃に
一曲をひたすら練習することが
少し苦痛でした。
 
いろんな曲を次々と弾いていたかった。
 
「弾けた」「暗譜できた」
そこがゴールになっていて
その先にある音楽を感じることを
私はまだ知らなかったのだと思います。
 
だから今回も発表会の曲だけを
練習する期間にしようと
決めたわけではありません。
 
でも、生徒さんたちは今
自分の曲とじっくり向き合いながら
少しずつその先へ進もうとしています。
 
今回選んだ曲は
どれも「弾けたら終わり」ではなく
そこから音楽を味わえる曲ばかり。
 
その中のひとりのレッスン。
 
ふと窓の外を見ると
空がオレンジ色の夕焼けでした。
その空を一緒に眺めているうちに
彼女の中で何かがふっと動いたように感じました。
 
いつもなら、
「ドレミを覚える」
「間違えずに弾く」
そんな目の前のことに一生懸命。
 
でも、そろそろその先へ
行ける時期だと
私はずっと思っていました。
 
そこで体を動かしながら
曲を感じてみることに。
上へ、下へ。
左右へ。
 
すると不思議なくらい自然に
開いていくフレーズ。
収まっていくフレーズ。
音楽の流れが生まれてきました。
 
そして最後。
遠くへ遠くへ離れていくようなクレッシェンド。
 
その音がきれいに響いた瞬間
「気持ちいい……」
彼女が小さくつぶやきました。
 
そう。
たっぷり響いた音に
身を任せるって
気持ちいいんです。
 
それはもう、
「間違えた、間違えなかった」
の先にあるもの。
 
一回弾くごとに
伸びやかな音が出てくる。
自分が出した響きの中に
自分自身がいる。
 
その姿を見ていたら、
「この子は自分の世界の手綱を
自分で握っているんだな」
そんなふうに感じました。
 
こんな音を私だけが
聴いているのはもったいない。
「この音、ぜひみんなにも聴かせてあげてほしいな」
そう伝えると
照れくさそうに笑う彼女。
 
いつか、
「うん!」
って言ってくれたらいいな。
 
でもきっと
その日を待つまでもなく。。。
今日のように、自分の音と
自分自身に真摯に向き合っていくのでしょう。
 
発表会の曲を練習する時間が
ただ「弾けるようになるため」の時間ではなく
弾けたその先の音楽を味わう時間になっている。
 
そんなことを感じた
小学生のレッスンでした。

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